FIF フューチャー イノベーション フォーラム

FIFはさまざまな企業と協力し、社会貢献活動を行う団体です。

プレスリリース

FIF主催セミナー「イノベーションで日本を強く」開催報告

フューチャー イノベーション フォーラム(略称:FIF、代表:牛尾治朗・ウシオ電機株式会社会長、金丸恭文・フューチャーアーキテクト株式会社会長兼社長)は、2014 年7月3日に「イノベーションセミナー」を開催しました。FIFは企業と連携し社会貢献活動を行う団体として2006年に発足し、次世代リーダーの育成と交流を目的としたワークショップやセミナーを開催しています。 今回のセミナーは特別講演に三菱商事株式会社 中原秀人副社長を迎え、第二部では昨年実施したワークショップの講師陣によるパネルディスカッションを行いました。

◆ 講演概要 ◆(敬称略)
■ 第一部 特別講演 「変化する経営環境と総合商社の将来像」
三菱商事株式会社 代表取締役副社長執行役員 中原 秀人氏

日本の商社の原点は物の売買を仲介するトレーディングであるが、経営環境の変化に合わせて新たなビジネスモデルを構築してきたからこそ三菱商事は成長できたと思っている。当社は、財閥解体後の1954年、戦前の旧三菱商事とは資本関係のない新会社として再スタートした。戦前はグループ会社への原料調達と製品販売を生業とし、戦後は政府の輸出振興を担う企業として再出発したことになる。しかしながら、1980年以降商社不要論が起こり商社冬の時代と言われる中で、事業の再構築が図られた。例えば船舶事業では、1965年当時は船舶の売買仲介が事業の中心だったが、1990年代には船舶ファイナンス事業に着手し、現在では船舶リースや貨物運搬オペレーションといったビジネスにも事業を拡大している。また、当社は原料から製品までのバリューチェーンに幅広く参画している。商社が生き抜くにためには、バリューチェーン全体を見据えて利益を享受できる仕組みを考え作らなければならない。そして何より顧客の需要に応える現場主義の原点を忘れてはならない。今後はリスクコントロールを更に強化して資源事業と非資源事業のバランスを取っていき、中期経営計画の通り2020年にはそれぞれ生産量、純利益を2012年度時点の倍にすることを目指している。投資家に対して常に投資機会を提供しながら総合商社の将来像を考えていきたい。

■ 第二部 パネルディスカッション
     「日本の強みを活かしたイノベーションとは」
パネリスト 経済産業研究所コンサルティングフェロー 安藤晴彦氏
      慶應義塾大学環境情報学部准教授、医学部准教授(兼担)神成淳司氏
      e-CORPORATION.JP株式会社 代表取締役社長 廉 宗淳氏
コーディネーター  サイバー大学 IT総合学部教授  前川 徹氏

前川:イノベーションというと日本では「技術革新」と翻訳されたこともあり少し誤解されている。経済学者のシュンペーターによると、新しい製品・サービス、新しい生産方法、新しい販路、新しい原材料等の供給源、新しい組織の実現も含まれる。では、イノベーションの根底には何があるのだろうか?
安藤:イノベーションには3つの方向がある。一つめは、壁や制約を乗り越えること。二つめは、取引先ニーズの更に先の潜在的ウォンツまで想像し、提案すること。三つめは、不快・不便なモノ・コトを心地よいモノ・コトに変えること。モジュラー・ワールドの今日、企画開発、製造、販売、アフターまですべて自社で行う必要はなく、世界中から要素をミックス&マッチさせ実現すればよい。
神成:やるべきことは、顕在化済みの課題や情報へ対応する「課題解決」ではなく、現場と連携し社会の新たなパラダイムを描く「価値共創」なのだと考える。私は各地の農業や介護の現場に繰り返し足を運び、これら分野の10年後の姿を見据え、新たな価値創造に資するサービスをデザインし、利活用を図っている。お互いに連携してサービスを創り、新たな社会パラダイムを構築していくことがこれからの社会に求められており、イノベーションだと思う。
廉 :イノベーションは技術革新と消費者のニーズによって触発される。日本の技術はとても優れているが、これらを組み合わせて商品化する力や仕組みを作る力が不足している。例えば韓国ではITを活用して住民票を出さなくてもよい行政の仕組みを築いた。輸出入の関税手続きも入港前にEDIで行うなど行政のITイノベーションが経済の活性化を促している。背景には国会議員の約1割がITの専門家ということもあるが、公務員が常にICTの知識と業務の見直しを求められていることが大きい。

前川:では、イノベーション生み出す環境とは? 創り出すにはどうすればよいだろうか?
安藤:イノベーションの根源は異なるものの「新結合」にある。異業種交流は非常に良い手法で歴史は産業革命まで遡る。複式蒸気機関開発に悩んだジェームズ・ワットを「月夜会」に集まるウェッジウッドやダーウィン祖父らヘテロな仲間が智慧と資金で助けた。グローバル・ネットワーク時代の今日、クラウドソーシングのように世界中の同好の「仲間」の智慧や資金を結集してリスクフリーで画期的なものづくりができるようになった。イノベーションでは、組織内など身近な強い「つながり」ではなく遠くて緩やかな「つながり」が威力を発揮する。
神成:ベンチャー企業の経営者たちと「イノベーションを継続的に起こす組織には何が必要か」を議論した際、いくつか要素があげられたが、気ままに集まれる自由な時間と場所を確保することが必要だという点は共通していた。前向きな議論が新たなイノベーションには不可欠であり、そのイノベーションを社会に広く普及させようとすれば、皆が参加したい、皆がそのようになりたいと考える社会を描き、関わっている人がそのことを楽しみながら、楽しさを共有していくことが重要ではないか。私自身、今自分が何をしているのかをしっかり示し、常に楽しいと言えるように心がけている。シンプルだが、それが今の日本にとってとても大事だと思う。
廉 :韓国では38歳になると「出世」か「起業」か、人生の選択を迫られる。45歳になったら「定年だと思え」、56歳まで会社に居ると「給料泥棒」と言われる。自分の人生を常に切り開かなければいけない厳しい社会であり、常に問題意識や危機感を持つことが、イノベーションを生み出す土壌となっているように思う。また経営者の方々と話をするとITをコストだと思っている方が非常に多いが、むしろプロフィットセンターだと言いたい。今までの仕組みを踏襲するのではなく、今までのやり方を全面的に変えて新たなビジネスを作る。ICTを使って何かをするのなら、その本質は何かをぜひ考えてほしい。
前川:イノベーションを生み出すのは「よそ者、若者、ばか者」だと言われている。日本はこれまで同系同質の人間を育てることを得意としてきたが、今後は「出る杭は打つ」のではなく、引っ張りあげ、飛び抜けた人材を中心にいかにチームを作るかが重要だと思う。

◆実施概要◆
テ ー マ:イノベーションで日本を強く
開催日時:2014年7月3日(木)15:00~18:00
会 場:ANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区)
参加人数:約100名

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