FIF フューチャー イノベーション フォーラム

FIFはさまざまな企業と協力し、社会貢献活動を行う団体です。

プレスリリース

データ活用で実現するビジネス変革~イノベーションワークショップ2018 第2回
シリコンバレーの動向やビジネスへのAI導入事例を紹介

フューチャー イノベーション フォーラム(代表:牛尾治朗・ウシオ電機株式会社会長、金丸恭文・フューチャー株式会社会長兼社長、以下FIF)は、2018年11月2日にイノベーションワークショップ2018シリーズの第2回を開催しました。

本ワークショップは、次世代リーダーの育成と業界の枠を越えた企業同士の交流を深める場として、2007年にスタートしました。本年は「データ活用で実現するビジネス変革」をテーマに、全3回をつうじて講義、ディスカッション、実践を重ねています。

第2回ワークショップでは米国のシリコンバレーの動向やビジネスへのAI導入事例などを紹介し、デモを交えながらテクノロジーの可能性について考察しました。本レターでは講演の一部を紹介します。


【講演概要】

フューチャー株式会社 Strategic AI Group シニアアーキテクト  加藤 善大

「スタンフォード大学派遣報告~AI活用企業となるためのヒント」

私は新卒でシリコンバレーのスタートアップでエンジニアとして働いた後、フューチャーに入社し、大規模システムの設計開発や研究開発に携わってきた。得意分野は分散コンピューティングで、ブロックチェーンなども研究している。当社はここ数年、スタンフォード大学に研究者を送り出しており、私も今年8月までの1年間、客員研究員としてシリコンバレーに赴任し、テクノロジーによるイノベーションの源泉やAIの社会実装について学んだ。

AIの最前線であるシリコンバレーでは当たり前のように自動運転車が走り、歩道には箱型の宅配ロボットが動きまわっている。AIが一般の人にも理解しやすいサービスとして具現化されるのは日本でも確実に起こる未来だと感じている。AIが生み出す市場価値は年間で400~600兆円といわれ、このビッグチャンスを掴もうと世界中が躍起になっている。特に米国のテック企業が投じている研究開発費は莫大で、Amazonだけで2.2兆円を超える。一方、すでにAIを活用している企業の割合は世界で23%という報告もあり、AIの活用にはまだまだ余地がある。

大学でもAIの熱気は凄まじく、1,000人以上が集まる講義もあり、理系だけでなく文系の学生までが猛烈に勉強していた。実務を意識した内容も多く、AIにおける「データの重要性」についても繰り返し語られていた。特にディープラーニングはデータの質・量に依存するため、データを増やしながらAIを強化するループを設計することが重要である。他社が持っていないデータをより多く集めることが競争優位になるからだ。教授陣も研究者でありながら企業のトップやベンチャーキャピタリストとして活躍する人が多く、イノベーションにおけるテクノロジーとビジネスの融合の重要性を象徴していた。

現地では様々な実務者と交流したが、総じてAIの理解度が高く、AIの活用が本格化するなかで日本は戦っていけるかと強い危機感を抱いた。内閣府の資料によると日本では年間2,000~3,000人のAI人材が輩出されるというがそれでは不十分で、大学や協力企業だけに人材供給を頼っていると世界との差は広がるばかりだ。日本でも実務者の一人ひとりがAIの基礎知識と使い方をきちんと理解し、スピードをもって実践していくことが必要だ。私自身もその気運を盛り上げ、AIで社会をデザインしていきたい。


フューチャー株式会社 執行役員 Strategic AI Group  中元 淳

「常陽銀行における融資判断のAI化による戦略的な業務改革」

2017年11月から常陽銀行とビッグデータを用いたAIによる法人向け融資の審査・判断について共同研究を行った。これまでの金融業界の「融資審査AI」は少額融資に対応したものが大半だったが、今回は多面的な判断が必要な中小企業から大企業の法人案件という難易度の高い分野に挑戦した。1ヵ月強のプロトタイピングで融資判断に影響する因子を特定し、その結果、AIが出した可否判断の精度が約90%にまで到達した。

私はAIをビジネスに導入するとき「AIファースト」という考え方を大切にしている。コンピュータに目や耳がついていると想定し、業務プロセスのなかでAIに何を学習させインプット・アウトプットをどうするのかを考えていく。そのためには、業務の実地での理解が必要であり、私自身も担当者からヒアリングするだけでなく、500件以上の稟議書を読み込み、融資判断の基準をパターン化させた。また現場で担当者が帳票のどこを見て何をチェックしているのかを徹底的にリサーチし、AIと人間の業務範囲や協業をデザインしていった。

これまでの研究からAIと人間がそれぞれ判断するよりも、AIの判断を人間がチェックすることで正確性が格段に上がるケースがあることがわかっている。そのため常陽銀行でも融資の申込みはまずAIが評価し、それを担当者がチェックするというプロセスを組み、さらに担当者が自分の判断をAIにフィードバックすることでAIの判断精度をあげる業務をデザインした。AIの精度を上げるには、熟練者の業務をいかに正しく教師データとしてAIに学習させられるかが肝となる。

常陽銀行ではAIを活用することで融資関連業務の大幅な効率化とスピードアップを図っているが、AIをビジネスに導入するためには地に足の着いた努力が不可欠であり、何より経営層のリードが重要である。今回も経営層と議論を重ねプロジェクトの方向性やAI導入後の余剰リソースの活用について青写真を描けたことがプロジェクト推進の原動力となった。

今後は人間でも判断が難しい案件をどのように処理していくか、また様々な業種・業態に対応できるようにさらなる検証を行っていきたい。


【開催概要】

第一部 講演

 フューチャー株式会社 Strategic AI Group シニアアーキテクト 加藤善大

 フューチャー株式会社 執行役員 Strategic AI Group 中元 淳

第二部 テクノロジーセッション~AI技術の可能性と応用事例の解説

 ・画像認識 AI OCR(Optical Character Recognition/Reader)

 ・言語処理 カスタマーボイス活用における言語処理技術の応用とケーススタディ

 ・視線検知 異分野オープンイノベーション

 ・画像検索 画像検索の最適なソリューション

 ・需要予測 需要予測におけるAI導入のポイント

日 時:2018年11月2日(金) 18:00~20:00

会 場:フューチャーアーキテクト株式会社(東京都品川区)


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